Vol.8
- DATE : 2006.11.20
- Cat : 今更、エコといわれても
それから何度かそんなコトがあってさ。だんだん感覚がマヒしてくんのよね。アレだけ「自分って変態」って思ってて、男で男がスキってまだヒトには言えなかったけど、ちょっとずつ「当たり前かもね」って思うようになっていったわ。
そうね、その感覚と共に、音楽とか洋服とかデザインとかに興味を持ち始めてね、高校卒業して大阪に出たの。
学校行きながら洋服屋サンでバイトして。すぐにほかのスタッフと仲良くなってね。その時よ。生まれて初めてのカミングアウト。
1歳年上の女よ。
「このコには言っても大丈夫かな、イヤやっぱり引かれるかな」って思いながら。でも、ウソをつくというか、自分の素ではない仮面の自分でいるコトにしんどくって、「引くなら引けば?」って、清水の舞台から飛び降りたのよ。言っちゃった。
そしたら、その女、どんな反応したと思う?
ビックリしちゃったわよ。
「そうなんやー」。以上、よ。
そうなんやー、って何よ?
アタシの悩んだ10年近くの時間はなんだったのよ?
「ちょっとは引いてくれてもイイんじゃないの?」って思ったわね。
でもね、そのコはゲイだとかオカマだとかそんな視点より、アタシ個人を見てくれてたってコトなのよね。
アタシをスキだと思うか、キライと思うか。
アタシを信用できるかできないか。
ゲイやオカマってのは付帯条件でしかなかったのよ、そのコにとってはね。
今ならわかる。うーん、それからしばらくしてわかったわね。
その女のコとは今でも仲イイわ。
くだらない話しかしないけどね。え? どんなくだらない話かって?
そうね、その女は巨根スキみたいでさ、それの自慢散々されてさ、「裂けるかと思ったわぁ」とか言うワケ。
「バカじゃないの?」って言いながら、内心「うらやましぃ」よ。
って、何を言わせんのよ、アンタ。
でね、その「そうなんやー」の後、わからなくなったのよ。
正しいって何?
間違ってるって何? って。
なんで洋服屋で働いてんの?
洋服がスキだから。
なんでスキなの?
なんでかしら?
オシャレだと思われたいから服着てんの?
そうねぇ、それもあるわ。
でも冬、裸だと寒いじゃない?
夏だって裸で街歩くと捕まるわよ。
じゃ、暖かかったり、陰部を隠せたらなんでもイイワケ?
イヤ、気に入ったモノ着たいわよ、やっぱ。
じゃ気に入ったモノってなんなのよ?
アタシの感覚よ、それが。
じゃあアタシって誰なのよ?
って、自問自答がどんどん深くなっていって、一体自分って誰?
なんのために生まれてきて、なんで生きてるの?
生きるコトの意味は?
もう、引きこもったわね。
・・・つづく
ecocolo vol.9より