いちばん大事なこと
- DATE : 2007.08.24
- Cat : chezの独り言
by養老孟司。『バカの壁』は読んだことあっても、これはあまり知られてないから、読んでない人が多いんちゃうかな?
以前養老節にハマって、既出の養老本の7割くらいは読んだと思うけど、これが1番好きかも。茂木さんとの対談、『スルメをみてイカがわかるか』もおもろいけど。
で、タイトルの本の副題は、ー養老教授の環境論ー。
仙台に行った時、エコ活動をしてる人に会って、エココロで連載してるという話になり、
「でもワシはエコなんて考えてないのよねー」
って言ったら、
「エコ雑誌で連載してる時点でエコ活動じゃない」
と言われて、でもというか全くあまりピンときてなかったのやけど、そういうことなのかもしれないと、ちょっと思った。
っていうかエコって言葉に違和感があるんよね。エコ原理主義とか。極端やねん、みたいな。
で、久々にタイトルの本を再読。
その中で。
『去年の今日、その日の私たちの身体は、今年の今日と同じく7割近くの水でできていたはずである。去年入っていた水で、今年の今日まで残っている水は、ほとんどない。この一年で、自分が何トンの水を飲んだか考えてみればいいのである。身体は川と同じである。川はいつでもそこにあるが、水は絶えず入れ替わっている。』
という下りがある。
な、なるほど!
『ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず』
鴨長明はこの一文で諸行無常を説いたとされるけど、人間の身体というシステムも、地球上にいる全ての存在によってなるシステムも結局は一緒とも言いたかったのかもしれない。
以前、
「自分を大切にし、身体を労り、健康に保つことで、地球を大切にし、労り、健康に保つことになる」
とちょっとスピリチュアルなことを言われて、はぁ?って思ったけど、今となってはそうなのかも、と思えるかも。
小腸の表面を覆う上皮は、人体で一番入れ替わりが早く、なんと3日らしい。物質的に言えば去年の自分と今年の自分はほとんど別物。その入れ替わる細胞が、地球にとっては人間を含め地上に存在する物ものなわけで、とはいっても人間以外が必要以上のものを必要としていないし、そういう意味では人間だけが食物連鎖から外れ、環境を破壊し、汚染する存在なのだから、やっぱり自分になにがどれだけ必要かを知って、その範囲で生きることを考えることが必要なんやろうと思った。そうすることが自分のためでもあるし、他者のためでもあるし、地球のためにもなる。
それと別に、去年の自分と今年の自分が別物であること、ということは未来を創るのは今しかないわけで、やっぱり今すべきことは今しないことには望む未来なんか訪れるわけがないということ、も同時に思う。それこそが自分を大事にすることやし、同時に地球を大切にすることになる。
地球規模で物事なんか考えてる暇はない、目先の山積した問題の方が大事。確かにそう思う。
でも。
その山積した問題も、それから生じるストレスも突き詰めれば自分にとって特に必要でもない物を追い求めて手にしたいと望むことから起こるのではないのか。
犬を見ているとその感を更に強くする。ダルメシアンは頭が悪いと言われたが、そう言う人間の方がよっぽど頭が悪い。それは飼い主に向かって言えるデリカシーのなさの問題ではなく、必要以上の欲を持っていることにすら気づいていない愚かさという意味での頭の悪さということ。
地球のために、他者のために、何かをすることが決して無駄ではないし、その行為は尊いと思う、けど、その前に自分を知り、それを大切にし、自分で考え、自分で決断し、そして実行すること、それこそが『いちばん大事なこと』と思う。